- 2022年提出確定申告まとめ 【2022年2月4日更新】
新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応として、申告・納付等の期限について個別延長等の措置がとられています。詳しくは国税庁の新着情報をご確認ください。
- 提出期限
2022年2月16日(水)〜2022年3月15日(火)(4月15日(金)までの個別延長についてはこちら)
上記は2021年/令和3年分の申告を行う期間です。
次のような質問を頂きました。

- 配当利益(源泉あり)+上場株式売却利益(源泉なし)+原稿料(源泉あり)の合計金額所得が20万円の場合、確定申告は不要でしょうか?
組み合わせの問題で疑問を持っています(源泉「あり」と「なし」) - 上記1の場合で、上場株式売却利益(源泉無し)を申告の必要があった場合、それのみを確定申告すればよいのでしょうか?
もしくは、すべての確定申告をしなければならないのでしょうか? - 上記2と重なりますが、原稿料(源泉済み)には経費が掛かっているので、確定申告をすると還付があるそうです。
この場合、原稿料(源泉済み)のみを確定申告することはできるのでしょうか?もしくは、すべての確定申告をしなければならないのでしょうか?
できるだけわかりやすく、順番に説明します。
- 確定申告の前提
- 雑所得の20万円規定とは?
- 配当所得の申告について
- 上場株式の売却益の申告について
- 配当利益(源泉あり)+上場株式売却利益(源泉なし)+原稿料(源泉あり)の合計金額所得が20万円の場合、確定申告は不要でしょうか?組み合わせの問題で疑問を持っています(源泉「あり」と「なし」)
- 上記1の場合で、上場株式売却利益(源泉無し)を申告の必要があった場合、それのみを確定申告すればよいのでしょうか?もしくは、すべての確定申告をしなければならないのでしょうか?
- 上記2と重なりますが、原稿料(源泉済み)には経費が掛かっているので、確定申告をすると還付があるそうです。この場合、原稿料(源泉済み)のみを確定申告することはできるのでしょうか?もしくは、すべての確定申告をしなければならないのでしょうか?
- まとめ
確定申告の前提
まず前提として、確定申告とは一年間の所得を計算することをいい、全所得(所得税に規定さている10個の所得)を全て合わせて精算することいいます。
したがって、一部だけ申告するということはなく、何か申告する必要がある場合は、年末調整の有無に関係なく合わせて確定申告を行います。
例えば、今回のご相談のように給与以外に所得があった場合は、給与も合わせて申告をし直すことになります。
(日本の所得税は累進課税なので、合算した結果税率が変更されることがあるためです)
他にも、年末調整の際に、計算し忘れていた控除がある場合(例えば、ふるさと納税をしてワンストップ納税制度を使わずに寄附金控除する場合)も、一から申告を作ることになります。
雑所得の20万円規定とは?
次に雑所得の20万円規定ですが、ご認識のとおり、雑所得が20万円以下であれば申告不要です。
ただし、今回の場合は原稿料で源泉分があるということなので、経費が原稿収入を上回っていれば、確定申告をすることによって源泉分が全額還付になるイメージです。
(ただし、経費>収入により赤字であったとしても、他の所得から控除する損益通算はできません。)
配当所得の申告について
配当所得に関しては若干複雑です。
まず大口株主に該当するか否かで変わります。
(大口株主とは3%以上の保有する者)
普通の方は大口株主以外だと思いますので、大口株主以外を前提にお話しします。
大口株主以外の場合、次に非上場株式か上場株式かで変わります。
ここでも、普通の方は上場株式が多いと思いますので、上場株式を前提にお話しします。
大口株主以外かつ上場株式の場合
この前提の場合、証券会社の口座の種類が、一般口座か特定口座(源泉あり)か特定口座(源泉なし)によりフローが異なります。
質問者様の場合、源泉済みということなので、一般口座か特定口座(源泉あり)の場合を考えます。
まず一般口座の場合は、申告が必要です。
次に特定口座(源泉あり)の場合、原則不要です。
しかし、配当控除を受ける場合や、株式売却損との損益通算や損金繰越を行いたい場合は申告する必要があります。
質問者様は、株式売却も益と考えられますので、配当控除を受ける場合は申告する必要があります。
なお、配当控除は総合課税における所得税率が低い方が有利な控除になりますので、一回申告を作ってみたほうがいいです。
上場株式の売却益の申告について
次に上場株式の売却益に関しては、配当と同じく証券会社における一般口座、特定口座(源泉あり)、特定口座(源泉なし)でフローが異なり、上場株式と非上場株式で損益通算不可といった細かい規定があります。
配当と同じく、一般口座及び特定口座(源泉なし)なら申告必要、特定口座(源泉あり)なら申告不要となります。
ただし損益通算や損金繰越を行う場合は申告が必要です。
以上を踏まえて、各質問にお答えします
配当利益(源泉あり)+上場株式売却利益(源泉なし)+原稿料(源泉あり)の合計金額所得が20万円の場合、確定申告は不要でしょうか?組み合わせの問題で疑問を持っています(源泉「あり」と「なし」)

その認識で問題ありませんが、源泉ありについて申告すれば還付を受けれる可能性があります。
ただし還付不要と判断するのであれば申告は不要です。
上記1の場合で、上場株式売却利益(源泉無し)を申告の必要があった場合、それのみを確定申告すればよいのでしょうか?もしくは、すべての確定申告をしなければならないのでしょうか?

株式売却益のみの申告というのはありません。全てをまとめて申告する必要があります。
上記2と重なりますが、原稿料(源泉済み)には経費が掛かっているので、確定申告をすると還付があるそうです。この場合、原稿料(源泉済み)のみを確定申告することはできるのでしょうか?もしくは、すべての確定申告をしなければならないのでしょうか?

雑所得にかかる経費を計算すれば還付を受けられる可能性はあります。
ただし家事按分等の論点は事業所得と同様に存在します。
また2と同様で原稿料のみの申告はできず、全てまとめて申告することになります。
まとめ
確定申告をする場合は、すべての収入について申告をする必要があります。
株式投資を特定口座(源泉あり)で行っている場合は、どのような場合でも申告不要と理解している方もいらっしゃるようですが、それは誤解です。
医療控除をなどを受けたい場合は確定申告が必要になりますが、その際には給与所得も、特定口座(源泉あり)も、その他の収入も、すべてを含めて申告する必要があります。
副業からの収入の合計が20万円以下の場合で、確定申告をするかどうか迷うときは、一度確定申告を作ると、還付があるか、追加納税が必要か、すぐにわかります。(給与以外の所得がある場合、確定申告をしない場合でも、住民税の申告は義務となっています。)
慣れていれば10分くらいで作れますので、どちらが得かを考えているよりも早いかもしれません。
確定申告作成には国税庁のホームページが便利です。